86話(あらすじ・感想など)記事

   

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2016-11表紙

 86話のあらすじ&感想記事です。

 別マガ2016年11月号掲載。単行本派の方はネタバレご容赦ください。

ざっくりと要約
  • 完全なグリシャの過去・回想回。グリシャの人生の大半が明らかになる(さらに次回へ続く形)。
  • さらにジークとグリシャの関係も明らかに
  • 人類側と巨人側の真の関係性が明らかになる。大規模な民族戦争。

~続く~

ここでチェック!image一言感想

 今まで謎のヴェールに覆われていた進撃の巨人の世界観の大半がついに分かりました!

 つまるところ「巨人と人類の戦い」というよりも「人類と人類の争い」ということが明確になり、戦うべき相手とその理由がようやく見えてきた感じです。専門用語が多く出てくるので何度か読み直す必要が迫られる回でもあります。用語も後で分かりやすくまとめる予定。

あらすじ

第86話 「あの日」

――この本を最初に手にするものが同胞であることを願う。

「急げフェイ」

「待ってよ兄さん」

 二人の子供の兄妹が家から出かけようとすると母親から呼び止められた。

「待ちなさい二人とも。外に出るときは腕章を忘れるなって言ってるだろ?・・・グリシャ、壁の外には絶対出るんじゃないよ?」

「分かってるよ母さん」

「行ってきます」


 見上げる空には飛行船が飛んでいる。

「あれどうやって飛んでるの?」

 妹のフェイに尋ねられたグリシャは答える。

「あの中に水素がつまっててそれで浮いてるんだよ。プロペラは電池が動力源なんだってさ」

「あぁ・・・行っちゃう。いいなぁいつか私もお金持ちになったらあの飛行船に乗れるかなぁ」

「何言ってんだよ。俺たちが金持ちになれるわけないだろ」

「うん・・・でもいいなぁ・・・あそこから何が見えるんだろ・・・?」

「行っちゃった・・・」

 見かねたグリシャはフェイの手をとって連れ出す。

「行くぞフェイ。飛行船の発着場は近くにあるって先生が言ってたんだ。見に行こう」

「えぇ!?でもお母さんが壁から出たらダメだって・・・」

「いいんだよ。少しだけなら」

 二人は壁にある検問所を駆けて抜け出す。

「待て。お前ら!!」

「すぐに戻ります!!」


 壁を超えた先での人間たちが「ドブネズミ」「穢れた血」と冷たい声を放ってくる。フェイは不安に思いながらも二人は土手の先に辿りついた。

 発着場はとても広く、飛行船は格納庫の中に入ろうとしていた。

 フェイはその光景に感動を覚え、目を輝かせている。グリシャもまたそんな彼女の目を見て嬉しそうにしている。

「お前たちも飛行船を見にきたのか?」

傍の土手に寝転ぶ二人の兵士がこちらに気づいて声をかけてくる。

「は・・・はい・・・」

「レベリオ収容区の者だな?外出許可証を見せろ」

「え・・・え~と・・・」

 グリシャは自分のポケットをまさぐって、いかにもさっきまでは許可証を持っていましたという苦しい演技を見せる。

「・・・持ってません」

「無許可で市内に入ったんだな。ではどうなるか分かっているな?」

「労働か?制裁か?」

兵士が問いたてる。

「・・・制裁を・・・」

「兄さん・・・!?」

「ほぉ・・・親に迷惑をかけたくないか」

「はい・・・僕が妹を無理やり連れ出しました。妹の分も僕に制裁を下さい」

「分かった」

 兵士はグリシャの胸倉を掴み、思いっきりのニーキックを腹にかます。

「兄さん!!」

「もう一発だ」

 グリシャは唸り声を上げている。

「全く・・・容赦ねぇなクルーガー。ほら嬢ちゃんは先に帰ろうね――」


「腕章を外さなかったことは賢い。たとえガキでも外で腕章を外したエルディア人は『楽園送り』だからな」

「もう・・・帰ります・・・」

「待て。飛行船を見に来たんだろ?せっかくだから見ていけよ」

 家に帰ると妹はいなかった――。

 妹は翌日、川で変わり果てた姿となって発見された――。

「何度も説明した通り私があの子を送ったのはレベリオの手前までだ。仕事が忙しくてな。そもそもエルディア人が許可なくうろつくのが悪い。お前の息子は自分の一族の立場をよく理解していないようだが・・・しっかり先祖が犯した過ちは教育しているんだろうな?それが十分じゃないならしっかり首輪繋いでおけ」

――私にはこの「マーレ治安当局」の男が嘘をついていることがわかった。彼らは仕事をさぼって川原で寝てたのだ。忙しかったわけがない。母は悲しみにくれ父はこの男たちにへり下った。

「ご指摘いただきありがとうございます。わが愚息の方には私から教育しなおしておりますのでどうか――」

 私は父にこの男に眩暈のするような憎しみを覚え、それ以上に自分の愚かさを呪った――。


「今から1820年前、我々の祖先“ユミル・フリッツ”は“大地の悪魔”と契約し力を手に入れる。それが巨人の力だ。ユミルは死後も“九つの巨人”に魂を分け、エルディア帝国を築いた。エルディアは古代の大国マーレを亡ぼし、この大陸の支配者となる。そこからは暗黒の時代だ。巨人になる力を持った“ユミルの民”は他の民族を下等人種と決め付け、弾圧を始めた。」
「土地や財産を奪いいくつもの民族が死に絶える一方でエルディア人は他民族に無理やり子を産ませ、ユミルの民を増やした。その民族浄化が約1700年間続いた。だがかつての大陸マーレは増長を極めたエルディアに内部工作を挑み、それがもたらした内戦でエルディアの弱体化に成功した」
「さらには“九つの巨人”のうちの七つを手駒に従え、80年前の“巨人大戦”に勝利したのだ」
「フリッツ王は残された国土“パラディ島”に三重の壁を築き、国民とともにそこへ逃げ込んだ。だが全員ではない。我々非マーレ派のエルディア人残党は奴らに見捨てられこの大陸に取り残された」
「本来なら・・・我々はマーレによって根絶やしにされてもおかしくない立場だ。だがその発想こそが我々が悪魔の末裔である由縁であろう。寛大なマーレは我々を殺さずに生きる土地を与えてくださったのだ――」

 娘を失った直後の父親にしては饒舌だった。ご主人様の言いつけを守り、嬉々として己の祖先を卑下する姿は犬さながらであった。

「あの男は嘘をついていた。何か都合の悪いことがあるから嘘をついた。あの男は何かを知っている」

「言うな。この建物は壁が薄い」

「きっとあの男がフェイを――」

「黙れ!!・・・言っただろう。我々の祖先は大罪人なんだ。優生思想に走り民族浄化をやった。この体にはその悪魔の血が流れているんだよ」

「俺もフェイもそんなことしてない!!街を歩いただけだ!!」

「・・・お前はなんだ?そんなに父さんと母さんと一緒に“楽園”に行きたいのか?“イェーガー一家は治安当局を疑い恨みを抱いてる” そんな噂が流れただけで我々はおしまいだ。いいかグリシャ?我々が直接の加害者じゃなくても被害を受けた側の長い歴史にとってみれば関係ないことだ。我々にできることは・・・この収容区でただ慎ましく沈黙し・・・生きる事だ。頼むから父さんと母さんをフェイと同じ目にあわせないでくれ・・・」

「うん・・・分かった」

間違っているのはどちらだろうか。私かこの世界か。恐らくは両方だろう。私は無知で愚かで世界は理不尽で狂っている。私が己の道を見つけたのは十八歳の時、何の感慨も無く父の診療所を継ごうとしていた頃だった。

 グリシャはとある青年男性の患者を診療所で診ている。

「この十字の切り傷はどうしました?」

「これは同胞の証です」

「・・・はぁ」

「あなたの妹はマーレ当局の男に殺された。我々にはマーレ政府の内通者。その者がそう言ってました。我々に協力すれば詳しい話をお聞かせしましょう。我々“エルディア復権派”に力を貸すなら」

 私が医療従事者であること。私がマーレ政府に強い憎しみを抱いていること。その二点に注目した反体制地下組織“エルディア復権派”が私を勧誘しに来た。そこで妹の事件の真相を知った時、心に誓った。

 本当の悪魔はどちらかを教えてやる。我々の祖先がやったことは正しかったのだ。再び世界を正すためにはエルディアを復活させなくてはならない。

 グリシャは同胞たちの前で己の身に十字を刻んだ。

 マーレ政府の内通者は“フクロウ”と呼ばれ姿を見せることなく復権派を導いた。我々に武器や資金を流し、今のエルディア人が知り得ない歴史文献を提供した。

「見ろ!これが真実だ!我々の始祖ユミルは巨人の力に目覚め、荒地を耕し道を造り、峠には橋をかけた。つまり始祖ユミルが人々にもたらしたものは富だ!人々を豊かにしこの大陸を発展させたんだ!!」

「やはり俺たちが学校で教わった歴史は全てマーレに都合のいい妄想だったわけか!!」

「そうだ!!バカ共は騙せても!!俺たち真のエルディア人は騙されないぞ!!」

「しかしグリシャ・・・よくこの古語が読めたな」

「いいやまだほとんど解読できてないんだ」

「・・・?ではなぜ真実が分かった?」

「?そんなことすぐ分かるだろ?」

「なぜなら俺は始祖ユミルを信じている!!俺たちは選ばれし神の子!!ユミルの民だ!!」

 一同が歓喜と勢いに盛り上がる。それと同時に扉が開け放たれる。

「同志よ!!フクロウが人を遣わしたぞ」

 仲間の青年、その背後には外套に身を隠す女性。彼女は丁寧な所作で被っていたフードをめくり挨拶をする。

「皆さんはじめまして。こんなにも多くの同志と出会えて光栄です。私はダイナ・フリッツと申します。王家の・・・血を引くものです」

 ――私は運命に導かれるままにその身を委ねた。

 巨人大戦末期、島に逃れることを拒み大陸に留まった王家の一族が存在した。その末裔は現在彼女一人のみとなっていた。彼女らの一族はエルディアが再び立ち上がる日を待ち続け、王家の持つ巨人の情報と共に収容区に潜伏していた。彼女が復権派にもたらした情報はまさしくい勝利への活路だった。

「間違いない!!フクロウが流したマーレ政府の情報と照らし合わせてはっきりした!!」
「フリッツ王が壁の中に持ち去った“始祖の巨人”!!これこそがエルディア復活の鍵だ!!」
「“始祖の巨人”は全てを支配し操る事ができる!!これさえ手にすれば我々は再びマーレを討ち亡ぼすことができる!!」

「しかし・・・フリッツ王はそのような絶対的な力を持っておきながら、なぜ島まで退く事に・・・?」

 同志はダイナ・フリッツに尋ねる。

「それは・・・戦うことを否定したからです。そもそも“巨人大戦”とは145代目の王が“始祖の巨人”を継承したことが始まりですが、それまでも八つの巨人を分けた家同士では争いの絶えない時代が長らく続いていました。」
「それでも王家が“始祖の巨人”を呈することでエルディアは均衡を保つ事ができていたのです。しかし145代目はその役目を放棄し、辺境の島に都を移しました。私の家とはそこで折り合わず決別することになりました」
「私たちの・・・この惨めな日々は王が争いから目を背けたことから始まったのです」

 同胞たちは俯く。沈黙の中、グリシャが口を開いた。

「戦おう。やるべきことは明確だ。我々を見捨て壁の中に逃げた王から『始祖の巨人』を取り戻す。そして我々エルディアの民のために大陸に踏みとどまった真の王家に!!“始祖の巨人”をお納めするのだ!!同志諸君よ!!マーレを打倒し、偽りの歴史を正し、エルディアの誇りを取り戻すのだ!!同志諸君よ!!我々はエルディアが復活する日まで戦い続けるぞ!!」

 同志たちは声高々に雄叫びを上げた。

 ――翌年、私たちは結婚し男子を授かった。

 名はジーク。

「王家の血を引く子だ・・・きっとこの子は私たちを勝利に導いてくれるぞ」

 時代は移り、人は変わる。世の中が急速に発展していく頃、エルディア復権派は転機を迎える。


 ――エルディア人が集まる中、マーレ人の兵士が高台で声高々に叫ぶ。

「聞けエルディア人よ!!我々は貴様らユミルの民から“マーレの戦士”を集う!!」
「このたびマーレはパラディ島に逃げた悪の化身フリッツ王から宣告を受けた!!近くエルディアは世界を支配し再び恐怖でこの大陸の覇者として君臨すると!!」
「我々はその浅ましき野望を打ち砕くべく!!これより数年をかけ大陸各地の収容区から戦士を選出し、これを備える!!」
「集いし戦士は五歳から七歳の健康な男子女子とする!!されど!!選ばれし戦士は極小数に限られる!!なぜなら戦士は――我々マーレ政府の管理下にある――“七つの巨人”を継承するに値する器でなくてはならないからだ!!」
「なお選ばれし戦士となる一族には“名誉マーレ人”の称号を与え、この国での自由を保証する!!エルディア人よ!!今こそマーレに忠誠を示したまえ!!」


「――どういうことだ!?」

「フリッツ王が宣戦布告をしたのか!?」

「いえ・・・それは考えにくいことです」

 伝令が届けられる。

「来たぞ!!フクロウからだ!!」


「・・・読むぞ。今回マーレ政府が動き出した理由、それは・・・来る資源争奪の時代にいち早く対応するためである。知っての通り近年の軍事技術は目覚しい進歩を遂げている」
「今日のマーレを世界の指導者たらしめる力“七つの巨人の力”が絶対ではなくなる日も近い。これからは燃料を背景とする軍事力が物を言う時代と移り行くだろう」
「その時代を迎えるにあたり莫大な化石燃料を埋蔵するとされるパラディ島は決して無視できるものではなくなった」
「しかしパラディ島を征服するのは未だ容易なことではない。依然フリッツ王は壁にこもったまま音沙汰ないが、80年前に言い残した言葉がある」
「今後我々に干渉するなら壁に潜む幾千万の巨人が地上の全てを平らにならすだろう」
「この脅威が健在であるうちは何人たりとも正面からは手出しはできない。つまりマーレ政府の目的は我々と同じフリッツ王を刺激せぬように壁内に侵入し、“始祖の巨人”を奪還することである」

 同胞たちがざわめく。

「どうする・・・このままじゃ我々の計画が・・・」

「あと数年でマーレに先を越されてしまう・・・」

「そうなったらもう・・・!永久にエルディアは日の目を見れないぞ・・・!」

 「いや・・・我々にも手段は残されている」
「我々の息子ジークを“マーレの戦士”にするのだ」

 こうして私は息子にエルディアの誇りを託しつつも敵国に忠誠を誓うマーレの戦士になるよう仕向けた。果たして私はあの日の愚かな子供のままだったのだろうか。

 息子は七つになった頃、私たち夫婦はマーレ政府に密告した。

 我々エルディア復権派は全員「楽園」に送られた。

 パラディ島を永遠に彷徨う人食い巨人となるべくして――

続く

考察・感想編は別記事として出してます。解説や感想、予想などにご興味がある方、更なる分析をご希望の方はぜひそちらもお越しください。

↓

こちら: 86話 分析【考察・解説】編

気になった一問一答

Q. キャラデザはどうやって考えていますか?

A. 自分の脳だけで考えてしまわないように画像を見て考えています。

 


進撃の巨人の関連情報は随時紹介します。乞うご期待!

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コメント

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コメント一覧

    • 1. 進撃の名無しさん
    • 2016年10月08日 20:16

    • 2. 進撃の名無しさん
    • 2016年10月08日 21:12
    • ①始祖:フリーダ→グリシャ→エレン
      ②? :グリシャ→エレン
      ③鎧 :ライナー
      ④超大型:ベルトルト→アルミン
      ⑤女型:アニ
      ⑥猿 :ジーク
      ⑦? :マルセル→ユミル→(四足歩行?)
      ⑧? :(四速歩行?)
      ⑨? :
    • 3. 進撃の名無しさん
    • 2016年10月08日 21:23
    • マルコが死亡する時の話で、ライナーがアニに向かって「お前と、お前の帰り帰りを待つ親父が、穢れた民族と違うって言うんなら、今すぐ証明しろ」と言っている台詞からすると、ライナーはマーレ人でアニは「マーレの戦士」に選ばれたエルディア人なのかな。
      ジークのようにライナーたちも全員エルディア人ということも考えられるが、ベルトルトがアルミンたちを「悪魔の末裔」と罵ったことを考えると、少なくともベルトルトはマーレ人なのかなと思う。
    • 4. 進撃の名無しさん
    • 2016年10月08日 22:31
    • 巨人化できるのはエルディア人だけじゃないか?
      裏切るかもしれんエルディア人(散々な目にあわされた挙句、やっと支配してやった悪魔の末裔ども)をわざわざ選び、7巨人を継承させるのはマーレ人には継承できないからでは。
      もしくは巨人化で寿命が縮むので自分たちではやりたくないか。
      でもそう簡単にどの民族でも巨人化はできない気がするなあ。
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