元調査兵団12代目団長であり、現在は訓練兵の教官を務める中年男性。極めて厳格な人間で訓練兵に様々なトラウマを残した優秀な教官。入団式でのサシャの芋漫才は有名。845年までの団長時代は髪の毛があったが現在では禿げている。さらに目には深いくまが出来ており、深いストレスを抱えていることが伺える。調査兵団としての意志と心は折れてしまった悲しき男でもある。グリシャやカルラ、ハンネスとは昔からの顔見知りで友人でもある。団長時代はシャーディス団長と呼ばれていた。訓練兵に入るための適正テスト「姿勢制御訓練」でエレンのベルト金具に細工を入れた張本人。
830年、一介の調査兵だったキース・シャーディスはある壁外遠征の帰路で一人の青年グリシャと出会い、交友関係を持つ。それが結果的にキースの人生を大きく変えることになる。決して認められることのない調査兵という存在が自分自信の壁となって少し卑屈になっていたキース。そんな彼が記憶喪失と語るグリシャから意外な言葉「特別な存在」「選ばれし者」と言われ、調査兵としての道に確固たる「自信」をつける。しかし、それが彼にとっての「呪い」となり悲劇の道を歩むこととなった。
キースは片思いの相手カルラやグリシャにもっと認められたい一心で、「自分は特別な人間」と信じて身を粉にして調査兵に勤しんだ。それが気づかないうちに手段が目的となっていた。その横で、唯一自分を認めてくれたグリシャも医者としての地位や名声を固めていく。やがて流行病がシガンシナの人々を襲い、グリシャがこれを解決。記憶喪失だった青年はいつしか街の英雄となっていた。それはまさしくキースが求めているものと同じものだったのだ。積もる劣等感。そのときから急速に接近していくグリシャとカルラの仲をキースは傍観するしかなかった。
いつしかキースは団長の地位を得るが、もっとも自分を認めて欲しかったグリシャとカルラが結婚。幸せそうな二人の姿を見て、キースはその場を静かに去った。
それからキースは団長としての任に没頭。ひたすらキースは力を求める日々。しかし何もかもが空回り続きで限界が近づいてきていた。
あるときは子供を抱くカルラに八つ当たりをしたこともあった。「なぜ凡人は何もせず死ぬまで生きていられるかわかるか?」と。本当は己に対しての言葉であった。この非礼を謝る機会は訪れず、キースにとって永遠の心残りとなる。845年の超大型巨人が出現したあの日、ブラウンの腕を母親に返したときに今まで塞き止めてた思いが土石流のように崩壊した。ようやく自分を凡人だと認めたキースは非凡のエルヴィンに団長の座を譲る。
キースがブラウンの腕を母親に帰し、エルヴィンに団長の座を譲って王都へ報告に向かっていたときのことだった。ウォール・ローゼにいたキースは超大型巨人の出現とマリア陥落を耳にする。慌てふためく民衆の中、グリシャと再開したキースは共にカルラとエレンを探した。避難所でエレンを見つけたが、そこにはカルラの姿はなく彼女が巨人に食べられてしまったという事実であった。
キースとグリシャは言い合いになり、その後は森の中へ消えていったエレンとグリシャを追った。雷光が見えた先でキースはエレンだけを見つけて避難所の寝床へそっと戻した。
そして現在に至る。

- 実はグリシャが最初に接触した壁内の人間がキース。
- ハンネスとも旧知の仲だった。
- カルラのことを明らかに好いていた。
- エレンの金具を破損させた張本人。傍観者に徹することを決めてエレンへの妨害を途中でやめた。
- 連載当初は先代団長と教官が同一人物であるということは明らかではなかった。そのため公式ガイドブック「INSIDE抗」でも、執筆者が知らなかったためか「前・調査兵団団長」として紹介されている。
- 髪の毛が無くなっているのは過度なストレスのためと言われている。目にクマが出来ているのも過度なストレスによる不眠症などが想像できる。
- 調査兵団の団長が生きたまま交代したのはキースが初めて。
- ハンジの憧れだった。
エルヴィンを「特別な存在」と認めたくなかったからものと思われる。長距離索敵陣形を採用して、良い結果が残ってしまえば自分はただの凡人だと気づかされるのが怖かったのかもしれない。もしくは自分の考えが絶対に正しいという自負があったのか、または「純粋な力」を信じていたから。
以上のいずれかだと思われる。
キースの回想にはスピンオフ「リヴァイ外伝 悔いなき選択」と整合性が合わない部分が出ている。リヴァイ外伝では「長距離索敵陣形」がキースの団長時代に試用・使用されていた。しかし、本編回想ではエルヴィンが「長距離索敵陣形」の使用を提案した時にキースが断っている。その後に「気が変わってキースがOKを出した」という流れでない限り、矛盾が生じる形に。気が変わってOKを出すというのもストーリーの制作上、違和感がどうしても残る展開である。なぜなら、もう一度それを説明する必要が出てくるから。
リヴァイ外伝はVN版、漫画版、OAD版といずれもストーリーや内容に若干の変更が見られるが、そのいずれにも違和感が生じる流れとなっている。どちらにしても本編の進行上、そこまで大事な部分でもない。しかし、スピンオフの設定は大事ではないというのが根幹的に根付いてしまうかもしれない。
調査兵としての実力はかなりのものだったと思われる。
「長距離索敵陣形」使用を断ったり、「突撃するしか能がない」と言われているキース・シャーディス団長。煩わしい戦い方を好まず、圧倒的で純粋な分かりやすい「力」を望む傾向にあった。そのような危険に飛び込む戦い方を主にしていたのにも関わらず、団長を生きて交代できたのは運が強かっただけとは思えず、実力者としての面もあったのだろう。
調査兵団としての使命を全うすることよりも、気がつけばヒーローとして認められることを優先としていた。とても承認欲求が強い性格であったと思われる。それを初めて満たしてくれたのがグリシャだったのだろう。やがて、認められた暁にはカルラへ告白する思いがあったのではないかと思われる。
しかし、キースを認めたグリシャはさらに上を行くヒーローだった。常に彼の上へと目指して居続けなければならなかったが、それも適わなくて挫折したと思われる。グリシャの言葉を「呪い」だと語っているが、結局のところグリシャにそのような意図も悪意もなく、キースの一人相撲となっているのは否めない。
そもそもグリシャがキースを「特別」だといったのは調査兵としてのキースで、「特別な存在」を目指しているキースのことではない。グリシャとキースの最後の会話ではそのことに対して「この子はあんたと違う」と言っていたのかもしれない。
そんなエレンがキースが率いる調査兵団に憧れを抱くのは運命とも言える。
エレンの金具を破壊したのは様々な意見があるが、「カルラの想いのために普通の人生を歩んで欲しかった」ものと思われる。また、「エレンが自分と同じ道を歩んで欲しくなかった」、「最愛のカルラの子供だったから」などの意見がある。いずれにせよ、エレンとカルラを思ってのことだろう。しかし、エレンが壊れた金具で抗う瞬間を見て傍観者に徹する道を選んだ。