69話のあらすじ&感想記事です。
別マガ2015年6月号掲載です。単行本派の方はネタバレご容赦ください。
今月号はアルスラーン戦記の特製クリアファイルも付いてきます!アルスラーン無双なるものがPS3とPS4にも出るらしいですよ!
・消息が取れなくなっていたケニー・アッカーマン視点の回。
・回想(走馬灯?)がメイン回。ケニーがどのようにして中央憲兵側に転じたのか大まかな流れが判明。
・また、ケニーとリヴァイとの出会いもその過渡期内で描かれる。リヴァイ少年期の姿も。
・ケニー、命尽きる前にリヴァイとの邂逅。このとき初めて母親とケニーが兄妹ということを知る。
・ヒストリア、正式に女王即位。
・リヴァイ笑顔で「お前ら ありがとうな」 ~続く~
あらすじ
若かりしころのケニー・アッカーマン、彼は今巨人と戦っている。
巨人の皮をかぶった相手は少年風の男ウーリ(実際はおそらく成人している)。どことなくアルミンとよく似ている。ロッドもウーリに加勢している。ケニーはあっけなくウーリ少年の巨人の手に掴まれ、敗北に至った。ウーリの巨人能力の練度はずば抜けており、ケニーを掴んだまま自身は巨人のうなじからその身を露にしている。
すかさずロッドがケニーに銃を向け、撃とうとするが、ウーリが止めに入る。
「待てロッド。我々の存在を彼に漏らしたものが議会関係者にいるようだ。それを明らかにしないといけない」
操作の能力が効かず、ウーリは彼がアッカーマンの人間だと察する。初めて力で負けたケニーはダメ押しともいわんばかりに、ナイフをウーリに投げる。すかさずウーリは腕を盾に投擲を防ぐ。
往生際の悪さが始まったと思えば、今度はケニーの謎の命乞いが始まる。
「はなしてくれよぉ~~もう一度チャンスをくれよおぉぉ!!今度はちゃんと寝込みを襲いますからぁぁ!」
彼にとっての支えは暴力だった。しかし、圧倒的な強者に負けた彼は脆かったのだ。ウーリは巨人に掴まれているケニーをそっと放す。ケニーもこの状況は飲み込めなくて逆に動揺していた。ロッドも同様だ。彼は膝をつく。
「我々がアッカーマンにもたらした迫害の歴史を考えれば・・・君の恨みは真っ当だ・・・だが、私は今死ぬわけにはいかないんだ」
ウーリは頭を下げて、ちょうど土下座のような格好で許しを請う。
「どうか許してくれ・・・」
そのときから、ケニーの中で何かが変わった。ウーリは絶対的な強さと権力を持つにもかかわらず、殺しに来た相手に頭を下げたのだ。この異様な事態に何かを感じられずにいられなかった。
以降、ケニーはウーリの下に付く。
レイス家の情報をケニーに売った議員が消え、代わりにケニーがその席を座る。こうしてケニーがレイス家側になったことで、アッカーマン一族の迫害も終わりを迎えた。
ある日、落ち着いたケニーは地下街にいる妹のクシェルのもとへと訪れる。彼女がいたであろう娼館に。とても不愉快で気持ち悪い店主らしき男に所在を尋ねると。
「クシェル?あぁ・・・オランピアのことなら、だいぶ前に病気もらっちまってから売りもんになってやせん」
―彼女の家の扉を開く。
「・・・おい。おいおい、おいおい」
とても痩せこけている女性がベッドで横たわっている。歯も剥き出し。
「死んでる」
部屋の壁際の陰で座り込んでいる少年が答える。
▲なんとなく鬼太郎を思い出しました
「名前は?」
「・・・リヴァイ。ただのリヴァイ」
「そうか・・・クシェル。そりゃ確かに・・・名乗る価値もねぇよな・・・俺はケニー・・・ただのケニーだ。よろしくな」
愛想のない子供だった。ケニーが教えられることは多くは無いが、地下街で生きる術を教えた。まずはナイフの握り方を。そして、ご近所付き合いや挨拶の仕方(絶対的な力による)。身の振り方もナイフの振り方も。
―――――とある教会にて
「中央憲兵?あんたらがそうなのか。わりぃな。友達いっぱい殺しちまって」
「そんなお前をも王は服従させ、侍衛としたのだ。そこが王の果てしなさよ」
「サネスさんよ・・・ずいぶん心酔されなさってるようだな」
「お前は違うのか?なぜ王の下に下った?」
「さあな・・・多分、やつが一番強ぇからだ」
―最低限のことだけを教えた。地上に行けるかどうかは後はリヴァイ次第。力さえあれば、クシェルのような最期を迎えることはない。ケニーは彼に力こそが全てと教えてきたのだ。リヴァイが大の大人に打ち勝つとこを見届けて、そっとケニーはその場から去った。その背中を見たリヴァイも決して追うことはなかった。
長い歳月が経ち―――――
「私はもう長くない・・・」
「・・・んなもん誰だって見りゃ分かるよ」
「バケモンのくせに老いと病にはかなわねぇと・・・がっかりしたぜ」
「少し違う・・・この力はロッドの子達に引き継がれる。私はその子らの記憶の中で行き続けるだろう」
―――――ケニーも初めて知る話。そのことについて問い返すが答えはもらえない。
「ケニー。この世界は必ず滅ぶ。そのわずかな人類の黄昏に楽園を築き上げたいのだ。お前は暴力を信じているな?だが、滅ぼしあう我々を友人にしたのは一体何だ?暴力か?」
「知らねぇよ」
「あのときの奇跡を・・・私は信じている」
後日、ケニーはフリーダの瞳の奥にウーリを見た。彼の言う通り、力が引き継がれたのだろう。
ケニーはどうしても気になることがあった。ウーリと同様にフリーダも平和や愛がどうのこうのと語りだすのだ。どうしてそんな暇なことを言っていられるのか。強大な力を持っているのに。
「その力を手にさえすれば誰でも同じなのか?・・・例えば、俺でも―」
847年―。
「俺はケニー。色々あってこの新設された対人立体機動部隊の隊長を務めることになった。よろしくな」
「まぁわけがわからんのもわかる―」
「構いません。壁が破壊されて2年・・・巨人を諦めて、人間と残された領土をめぐり争う。壁のルールに従い、兵団組織を上り詰めた結果がこれです」
「構いませんよ。全ては無意味です」
希望を失ったかのような冷めた女性兵士。後にケニーの右腕となっていたものである。そんな彼女を見てケニーは大きく微笑む。
「安心しろ。調査兵団の対抗組織なんて大義名分。全ては大いなる夢のためだ」
神にも等しい力だ。
それを手にしたやつはみんな慈悲深くなっちまうらしい・・・こんなクソ野郎でもそうなっちまうのか知りてぇ・・・一体どんな気分なんだ?どんな景色が見える?俺のような屑にも・・・本当にお前と対等な景色を見ることができるのか?
時は現在に戻る。
「なぁ・・・?ウーリ」
「ケニー」
リヴァイと調査兵が木にもたれかかっている瀕死のケニーを発見する。もう一人は彼に銃口を構えている。といってもその必要はもうないだろう。
「あんたの仲間はみんなつぶれちまってるぞ」
「・・・兵長。彼も・・・」
ケニーももう長くは無い。部下を報告に行かせ、1対1で話す。
「あんたはもう助からねぇな」
「いいや?どうかな・・・」
ケニーがぼろぼろの左手で添える箱。それは例のロッドの注射器。ロッドの鞄からくすねたものらしい。
「アホな巨人にはなっちまうが、ひとまずは延命・・・できる・・・はずだ・・・」
彼には今まで注射を打つ余裕があった。しかし、それを今までやらなかった。リヴァイも当然それを理解していた。
「なぜやらなかった?・・・あんたが座して死を待つわけがねぇよ」
「あぁ・・・俺は・・・死にたくねぇし力が欲しかった・・・でも・・・そうか・・・今ならやつのやったこと・・・わかる・・・気がする・・・」
ウーリとケニーの出会った日の頃が脳裏に浮かぶ。
「俺が見てきたやつら・・・みんなそうだった・・・」
「酒だったり・・・女だったり・・・神様だったりもする。一族・・・王様・・・夢・・・子供・・・力・・・みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだな・・・みんな・・・何かの奴隷だった・・・あいつでさえも・・・お前は何だ!?英雄か!?」
血を吐く。限界が近づいている。リヴァイは知っていることを話すように問いただす
「初代王はなぜ人類の存続を望まない!?」
「知らねぇよ。だが・・・アッカーマンが対立した理由はそれだ・・・」
「俺の姓もアッカーマンらしいな?あんた・・・本当は母さんの何だ?」
「ハッバカが・・・ただの・・・兄貴だ・・・」
リヴァイはあのときの情景をあのときの目で見ながら問う。とても寂しそうな目。「置いていかないで」と語っている目で。
「あの時・・・なんで・・・俺から去っていった?」
「俺・・・は・・・人の・・・親にはなれねぇよ」
ケニーは最後の力を振り絞って、左手で注射器をリヴァイの胸元に押し付ける。
「・・・ケニー」
彼はそのまま息を引き取った。最期にリヴァイに心臓を捧げて託したのだった。
―戴冠式。王冠がヒストリアに捧げられる。名実ともにヒストリアは女王へ即位としたのだった。
―――――ヒストリアは待ちに待った計画を行う。エレンはその計画を止めようとするも、ジャンやサシャ、コニーはノリノリだ。
「本当にやるのかヒストリア?」
「エ、エレンだってやっちまえって言ってたじゃない」
「ありゃリーブス会長の遺言って言うか最後の冗談だろ?」
―計画の対象のリヴァイが廊下の先に立っている。
ヒストリアが恐怖と勇気が入り混じった表情を見せ、リヴァイに向かっていく。
「っ・・・うっ。ああああああああ」ボクッ
ヒストリアのなけなしのグーパン一発がリヴァイの肩にヒット!104期も歓声を上げる。
「うおおおお!!」
「ハハハ。どうだー私は女王様だぞー!?文句あれば―」
「ふふ・・・」
「!!?」
「お前ら、ありがとうな」
104期はぎょっとした。リヴァイは初めて見せる笑顔で104期に微笑んだのだ。
続く
解説・注目ポイントなど
気になった部分の感想や解説、捕捉などをしていきます。最新話考察はここで浅く広くご紹介しています。単独で別記事で出す場合も!
ケニーはミカサらの救世主!?
遠からず近からずミカサの命を救ったのはケニーだったのかもしれません。もしアッカーマン家迫害を放っておけば、ミカサの両親のみならず、シガンシナ内に居たときから危なかったかも・・・。
ケニーの面影を継ぐリヴァイ少年
ついにリヴァイ少年時代が明確に描かれました!リヴァイファンにとっては一級情報に違いありませんね。
そんな彼ですが、刃物を逆手に持つ技術もケニーに襲った際に習得したっぽいです。状況から察するに逆手に関してはケニー直伝ではなく、我流として思いついたっぽいです。
また、ケニーの動きがリヴァイとそっくりです。肩を組んで脅す動作や胸倉をつかむ動作も、ケニーの影響があったからでしょう。ウーリとは違った意味で、ケニーはリヴァイの中で生きているのです。
潔癖症の理由などは不明ですが、地下街の不潔な環境だからこそのコンプレックスがあったのかもしれません。
ウーリとケニー
対極の二人が引き合う運命。間違いなく二人は宿敵という感じでした。水と油という感じでしたが、打ち解けたのか親友という感じでしたね。エレンとライナーたちもそのような関係になれるのでしょうか。
ケニーはウーリに見込まれ、リヴァイはエルヴィンに見込まれる。ひとつ間違えれば、お互い逆の立場に居たのかもしれませんね。
リヴァイの苗字が隠されていた理由
これも明らかにされましたね。
地上を追いやられて地下街で暮らす中、クシェルは“アッカーマン”という名前を隠さざるを得なかったのでしょう。この名を授けることはアッカーマンとして狙われ続けることを考慮するのであれば当然です。また、ケニーによってアッカーマン迫害は終結した後も、事情を知らされてなかったのか、“アッカーマン”という名前に良い思い出がないからなのか、リヴァイに姓を授けることはありませんでした。
リヴァイ・アッカーマンの設定は後付で「人気に箔をつけるためではないか」という批判的な声も見られました。しかし今回の流れを見ると、そうではないのが分かりますね。「超人的な力」「アッカーマン迫害による苗字隠し」などは辻褄も不自然ではないですし、やはり設定初期からの構想だったように思えます。やっぱり面白いなぁ進撃の巨人(笑)。
残念ながらケニーは退場
バンバン!と流行りそうな素晴らしいフレーズを生み出してくれたケニー。良いキャラをしていたのですが、残念ながら彼の命は尽きました。それと同時にアッカーマン“力”も無敵ではないということを知らしめられました。
リヴァイの笑顔はフラグ!?
今話の最後、リヴァイが笑顔でお礼を述べるシーンを見て、嫌な予感がした人もいるのではないでしょうか。「フラグ立ちをしたのでは!?」と感じるのでした。考えすぎだとは思うのですが。
本当はケニーに置いてかれたくなかった
ケニーが母の兄貴と知った後、とても寂しそうで大事なものを見る目で、ケニーが自分を置いていった理由を尋ねるシーンがあります。やはり育ての親でもあり、命の恩人であるケニーのことを好いていたのでしょう。
そんなリヴァイが最後にケニーから教わったこと・・・それは笑うことでした。死ぬ間際でも彼は笑っていたのです。少年時代はそんなことを教わっていなかったのでしょう。
注射器のラベル
▲180度回転済み
ケニーがくすねた注射器のラベル文字を見てみたのですが、達筆&部分的に隠れてて解読できませんでした。調査兵団の手に渡っているので、早ければ次回にはどういうラベルの注射器なのかが判明しそうです。
巨人能力者も無敵ではない。老衰がある
巨人能力者がもたらす恩恵は再生能力だけではなく、不老能力も得られるのではないかという説がありました。その説が大きく普及するきっかけとなったのはユミルの巨人化していた時間が判明したときからです。
一定の年齢で成長が止まる説、無知性の巨人化している間は不老な説などがありました。
しかし、ウーリが老いていることから、ユミルのような無知性巨人になっている時以外は普通に成長・老衰するみたいですね。
そう考えると、無知性巨人は超優秀なタイムカプセルとして存在しているのかもしれません。いつか誰かがその蓋を開けてくれるということを信じて、中の人は待ち続けているのでしょうか。
ウーリの思想
「この世界はそう遠くない未来、必ず滅ぶ。そのわずかな人類の黄昏に、私は楽園を築き上げたいのだ」
こちらのウーリのセリフは初代王の影響かとも疑ったのですが、ウーリの瞳は通常のものだったので、本人の思想だったのでしょう。もともと彼はロッドと同じく、巨人駆逐派でした。それが一転して、「人類生存の時間稼ぎを行い、滅びを待つ」という考えに至っているのです。一体なぜなのでしょうか。彼だけが知らされたレイスの記憶の真実と何か関係があるのかもしれません。
質問の内容はともかく・・・このやり取り、何かがおかしい。絶対おかしい!
進撃の巨人の関連情報は随時紹介します。乞うご期待!